【BEPS ジャーナル】第四回             簡易実効税率(ETR)セーフハーバーの内容その1

【BEPS ジャーナル】第四回簡易実効税率(ETR)セーフハーバーの内容その1
BEPSのSide-by-Side Packageは、GloBE1 の完全計算を行わずに最低税率の充足を判定できる「簡易ETRセーフハーバー」を提供しています。企業は既存の連結財務諸表(CFS)の数値を活用し、事務負担を抑えながら国・地域のETRを算定できます。

簡易所得では、各国・地域の税引前利益(JPBT : Jurisdictional Profit (or Loss) before Income Tax)を出発点とし、配当や株式の売却益など通常課税対象外の項目を除外し、違法な支出や25万ユーロ超の罰金を加算するなど、最小限の調整を行って「簡易所得」を算定します。金融業・海運業など特定業種向けの追加調整や、M&Aに伴う簿価差異への簡素化対応も用意されており、完全なGloBE計算に比べて調整項目が大幅に少ないのが特徴です。

簡易税額では、会計上の法人税費用(JITE : Jurisdictional Income Tax Expense)を基礎に、税額控除・還付の整理、不確実税金の除外、繰延税金の最低税率による再計算といった政策的・技術的な調整を行い「簡易税額」を求めます。評価性引当金や会計上の認識調整の影響は考慮しなくてもよく、煩雑な算定が軽減されます。さらに損失年度には、損失×最低税率による負の税金調整を行い、欠損金相当の効果を継続的に反映できます。

最終的に、簡易ETR=簡易税額 ÷ 簡易所得を計算し、最低税率(15%)以上であれば、当該国・地域のトップアップ税(Top up Tax)はゼロとみなされます。これにより、国際最低税対応の追加負担を抑えながら、迅速にリスク評価と開示準備ができます。

実務上、企業のBEPS担当者は次の点に注意することが必要と思われます。
(1)CFSベースのJPBTとJITEの整合性を確保し、除外・加算項目を標準化したチェックリストで運用すること。
(2)繰延税金の再計算ルールを社内方針として明文化し、損失年度の負の税金調整の記録を残すこと。
(3)業種別・M&A関連の特則の適用がある場合は、該当の簡素化選択肢を年次で評価すること。
これらにより、セーフハーバー適用の可否判断とGIR2提出に必要なデータ整備を効率化することができます。
 
以上
 
文責:BDO 税理士法人 BEPS チーム。
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 1 GloBEとは、連結財務諸表上の利益を基礎に算定される、国際最低税率における実効税率計算用の所得概念であり、当初のGloBE所得は調整項目が多く複雑なため改良が要望されていた。
 2 GIR(GloBE Information Return)は、国際最低税率(15%)の充足状況を確認するために、多国籍企業グループが年次で提出する情報申告書のことである。


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