【BEPS ジャーナル】第三回 Side-by-Side Package 簡易ETR セーフハーバー

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■簡易ETRセーフハーバー(Simplified ETR Safe Harbour SESH)の概要

今回のBEPSジャーナルでは、簡易ETRセーフハーバー(Simplified ETR Safe Harbour: SESH)の概要をご紹介します。


グローバルミニマムタックス(GMT)の導入(2024年)にあたり、2024年から2025年までの2年間は、制度の円滑な普及および企業側の対応準備のための移行期間と位置づけられました。
この移行期間中、BEPS行動計画13(移転価格文書化)に基づく国別報告書(CbCR)を提出している多国籍企業グループ(MNE)が、そのグループ企業の所在地国・地域にかかるCbCRに含まれる財務情報等を用いて一定の要件を満たしていること、ならびにセーフハーバーの適用を受ける旨をグローバル・ミニマム課税情報申告書(GIR)に記載した場合には、当該MNEの国・地域におけるトップアップ税は免除されます。
この特例措置は「CbCRセーフハーバー(Transitional CbCR Safe Harbour:TCSH)」と呼ばれています。TCSHは、一時的なルールとされていたため、モデルルールで恒久的なセーフハーバー規定の設定を求める声が多く、今回のSide-by-Side PackageでSESHがこれにかわるものとして公表されました。SESHの内容に関する「簡素化」の内容に関しては、2026年上半期までにさらに検討される予定であると、Side-by-Side Packageでは説明されており現在も作業中1です 。

この稿では現行のSide-by-Side Package で公表されているSESHをTCSHとの違いから整理してみました。大きなポイントとしては以下の点が挙げられます。

1. デミニマス基準2 が廃止の方向へ

SESH現行案には、デミニマス基準が含まれていません3

2.  地域別計算のグルーピングは継続(構成会社等の類型別計算)

TCSHでは、同一の国・地域に所在するMNEの構成会社(CE)であっても、CEの類型によってグルーピングし実効税率(ETR)の計算が必要でした。SESHでも、原則国CE毎の個別ETR計算ではないとしながらも、国・地域のCE、共同支配会社(JV)、JVの子会社、投資事業体等の類型に分けて類型別にETRを計算します。また、TCSHでは、セーフハーバーの閾値となる実効税率が17%から15%まで導入からの経過年数に応じて段階的に下がるように設定されていましたがSESHでは15%のみです。

3. 連結財務諸表(CFS)ベースの既存データに大きく依拠、調整は最小限

SESHにおける実行税率は、連結財務諸表(CFS)ベースから簡易的なGloBEルール(モデルルールで定義)を適用して計算した税引前所得(以下「簡易所得」 損失の場合には「簡易損失」)と限定的にGloBEルールを適用した対象租税の額(繰延税金資産負債調整も加味、以下簡易税額)によってETRを計算します。ETRが15%以上または、簡易損失が生じている場合には、その国・地域のトップアップ税はないものとして扱われます。

4. 基本調整は限定的

ETR計算において、M&Aによって認識されたのれんの償却や非課税でステップアップされた資産にかかる繰延税金負債の調整等について簡易な取扱いを認めています。

SESHの詳細は次回以降でも引き続き解説いたします。

■SESHの効果と影響について

Side-by-Side Packageにおける説明では、SESHの導入の主たる目的と効果は、MNEや税務当局のリソースをトップアップ税が生じる可能性のある国・地域に重点的に配置することができるようにするためとありました4。SETHの要件を満たさない国地域では、GloBEモデルルールに従った詳細な所得計算・対象税額の計算が必要となります。

■スケジュール

Side-by-Side Package で説明されているSETHの適用時期は下記の図5 のとおり2027年以降となっています。TCSHは一年延長されるとこととされ、SESHについては早期適用も可能となっています。 TCSHの改正、SESHの導入その他セーフハーバールールが、その国・地域で効力を有するためには、その国・地域の税法の条文等で制度化される必要があります。



 
以上

 
文責:BDO 税理士法人 BEPS チーム。
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1 OECD「Side-by-Side Package」p14. パラグラフ19
2 デノミマス要件では、以下①②を「同時に」満たすことで、その国地域のトップアップ税をゼロとすることが認められています。
① 収入金額要件:適格CbCRにおける国別の収入金額(調整後)が 1,000万ユーロ未満
② 利益要件:適格CbCRにおける国別の税引前当期利益(損失を含む・調整後)が 100万ユーロ未満
参考:国税庁「各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税に関するQ&A」(p64)https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/hojinzei_qa/pdf/01.pdf
3 Pillar Twoの制度的な中心にある考え方は、MNEが活動する国・地域でそのMNEの活動にかかる法人税の実効税率が、15%未満であればIIR・QDMTT等の異なる課税方法であってもトップアップ課税を行うという点にあります。簡易ETRセーフハーバーは、この中核目的に忠実で、「規模が小さいから免除」ではなく「15%以上課税されているから免除」というロジックに重点を置くため、デノミマス基準を現在のところ含めていないようです。
4 OECD「Side-by-Side Package」p10. パラグラフ2
5 https://www.bdo.global/en-gb/insights/tax/world-wide-tax/international-oecd-side-by-side-package-secures-future-of-pillar-two 
BDO GLOBALのSide-By-Side Package に関する解説ページです。この解説ページからスケジュール図は抜粋しました。解説も併せて確認ください。



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